救命救急センターでは指導医師のもと研修を行っており、研修医の先生方と一緒に三次救急患者対応と治療管理やICU・HCUの入院患者さんを担当しています。毎朝ICU・HCUで行われる回診では、患者の状態について臓器等のシステムごとに問題点を挙げ、アセスメント評価を行い治療へつなげるプレゼンテーションが行われています。医師だけでなく診療看護師も担当患者のプレゼンテーションを行い、プレゼンテーションのトレーニングや治療管理等について学ぶ機会をいただいています。
今回は、当院診療看護師研修責任者である藤谷茂樹先生(救急医学教授)よりマンツーマンで抗菌薬選択のためのグラム染色の方法を1からご指導を頂きました。
グラム染色とは、喀痰などの検体にいる細菌を紫色(グラム陽性)と赤色(グラム陰性)に染め分けて、菌の染まった色や菌の形をみて感染症の起炎菌を考える検査です。この検査は感染症の治療において迅速に最適な抗菌薬を選択・使用するために非常に重要な意味をもちます。
看護師が菌を判断して抗菌薬を選択して使用の判断をしていいの?と思われた方も多いのではないでしょうか?
実は看護師特定行為21区分38行為の中に「抗菌薬の臨時の投与」がありその特定行為を行う診療看護師は、グラム染色を用いて抗菌薬選択ができる能力が求められます。
藤谷茂樹先生は、米国集中治療学専門医(FCCM)、米国内科学会専門医(FACP)、米国感染症学専門医をお持ちで、このような偉大な先生から直接グラム染色や感染症診療についてのご指導を受けられるだけなく、救急集中治療における重症患者の全身管理、総合内科の病棟管理まですべてご指導をいただける贅沢な研修施設は他にはないでしょう。
私は診療看護師として、患者さんの状態や今後の治療方針等の情報をもとに担当看護師やそのチームと情報を共有し日々の看護ケアへとつなげられるよう心がけています。
患者さんの近くにいる看護師が持っている情報の中から診断や治療有用なものだけでなく、患者さんの「その人らしさ」を看護の視点でしっかりとキャッチし、医師や多職種と連携・協働できる「チーム医療の架け橋」となれるよう日々研修を行っています。
診療看護師は、医師の「診る」と看護師の「看る」の2つ視点から、患者さんの受ける医療がタイムリーかつ安心・安全で質の高い医療を提供できる診療看護師(NP)になれるよう努力していきます。