文字サイズ

リエゾン

~ リエゾンチームとは ~       
今、日本の医療は超高齢社会という現在そして将来像を見据えて、認知症、精神医療、高齢者医療の充実に取り組んでいます。また、川崎市は精神科医療の課題の一つに身体疾患を合併する救急患者の受け入れの拡充を挙げて身体科・精神科間の連携強化に取り組んでいます。このような国、そして近隣地域のニーズに応えるために、当院は精神科病棟を持つ特定機能病院として精神障害に合併した身体疾患の急性期治療を身体診療各科と協力して行っています。このなかで私達リエゾンチームは院内多職種チームの一つとして、一般病棟に入院中の患者の精神状態を把握し、円滑な身体加療のサポートを、時には精神科病棟での専門治療提供への橋渡しを行い、健康回復と社会復帰の推進を目指して活動をしています。  

~ 構成メンバー ~
神経精神科医師 :2名
臨床心理士:1名
精神保健福祉士:1名
看護師:1名(精神看護専門看護師)

~ 活 動 内 容 ~
身体診療各科の依頼に応じて精神科医が診察をします。この結果、リエゾンチーム介入の必要があると判断されたケースは週1回チームメンバー全員で回診とカンファレンスを持ち、介入評価と方向性を検討しています。
高度かつ先端医療の提供を責務とする当院は、救急搬送や紹介などで、まさに“今を乗り切る”ことを目的とした患者様が短い期間に入れ替わっていきます。この中でリエゾンチーム介入を必要とするケースは、せん妄を代表とした一過性の精神状態の変調、あるいは慢性期病床において長期間薬物療養を受けている統合失調症など病状は多岐に渡りますが、いずれのケースにおいても向精神薬の適切な調整が不可欠です。新規に向精神薬の服用が必要、あるいは増量する場合であれば副作用の兆候を慎重にモニタリングします。また中止が必要なときは離脱症状予防に最大限に配慮した減量計画を提案します。そして、身体加療で用いられる薬剤との相互作用に留意した薬剤調整を図っています。
 
あらためて「リエゾン」という言葉の意味ですが、日本語では「連携」や「つながり」と訳されることが一般的です。この「つながり」という理念を私達は心に留めて活動をしています。

「つながり」は大きく3つあります。
・第1は、患者様はそれぞれ固有の生活史を持っているという意味でのつながりです。怒りや不安をあらわにするケースであれば、これまで何を大事に生きてこられたのか、今は何を脅かされていると感じられているのか、そしてこれからをどのように思い悩んでいるのかという視点に立ち、適応へのサポートをしています。
・第2は、病棟スタッフ間のつながりです。コミュニケーションの障害、不穏興奮、不安・怒りに基づく衝動行為等は病棟全体に強いストレッサーとなり、時にはスタッフ間のチームワークに影響を及ぼすこともあります。そこで病棟スタッフ側のニードの把握を図り、実践されているケアへのエンパワメントと相談対応に努めています。
・第3は、診療各科や専門職種間のつながりです。例えば、特定妊婦の妊娠産褥期のケースでは助産師や院内外の福祉や行政担当者、あるいは腫瘍患者のターミナル期のケースでは緩和ケアチームなど他領域の専門職種、チームと協働した介入を図っています。 

~ 教 育 活 動 ~
リエゾンチーム介入を求められる中で各診療科に共通して多いケースはせん妄、そして認知症の介護拒否・徘徊等の周辺症状に由来する言動です。そこで、せん妄についてはクリティカル領域が主催する学習会に参画し、鎮静・睡眠剤の適切な選択や日常生活のケアに生かせる知識技術の普及を図っています。また、認知症高齢者については認知症看護認定看護師との協働で“ペースに合わせた”ケアの浸透への取り組みを始めています。