文字サイズ

診療看護師大学院生から 2

救命救急センター看護師 
東京医療保健大学院 高度実践看護コース在学中 渡部 弥生

① 診療看護師(Nurse Practitioner)を目指したきっかけ
  私は、「人を救える人になりたい!」という思いを胸に、故郷の沖縄を看護学校卒業と同時に飛び出し、平成16年度に聖マリアンナ医科大学病院の救命救急センターへ入職、看護師として15年間働いておりました。刻々と変化する患者様の病状やそれに伴う家族の心情をタイムリーにキャッチし、ケアの提供を行うことで、命が助かるケースや患者様や家族が望む終末の時に寄り添うことができる救命救急センターでの看護は、本当にやりがいを感じる仕事です。
 看護師として様々な経験を通し、看護師は患者様や家族の安全や安心のために「人・物・環境」に働きかける存在であることを学び、実践を重ねてきました。主任へと昇格し、実践者であるだけでなく、指導的な立場に立った時や自分自身の能力を振り返った時に、看護師としてさらに患者や家族にとって必要な医療やケアを提供できる存在であること、また医療の知識や技術をより深く習得することで、看護の役割がさらに明確かつ拡大するのではないかと考え、大学院への進学を考えました。
 看護師としての経験があるからこそ分かる患者様や家族の気持ちと医療をつなぐ架け橋になることで、患者様や家族を支えることのできる診療看護師になりたいと思っております。

② 大学院での学び
日本NP教育大学院協議会によると診療看護師(NP)の定義は、「医師や他の医療従事者、介護従事者等と連携・協働して、対象とする個々の患者の状態を包括的に的確に評価し、絶対的医行為を除く診療を、倫理的かつ科学的な根拠に基づき安全を担保の上、自律して、効果的、効率的、タイムリーに提供し、患者および患者家族のQOLの向上に貢献できる看護師」です。
  大学院での学びは、看護師としてのマインドを持ちながら、科学的根拠に基づいた診療の提供、安全で安心な医療を提供するために必要な他職種との連携、患者および家族のQOL向上に貢献するために必要な知識や技術を学びます。
具体的には、解剖学や、病態生理学、薬理学といった医学的な知識を学び、症状から患者様の「今」を捉えるために必要な臨床推論、さらには他職種と協働するために必要なチームスキルミクス、医療倫理などをグループワークによるディスカッションや、学生同士のプレゼンテーションを実施しながら学んでいます。更に、看護学校では学ぶことが出来なかった研究についてじっくり学ぶことが出来ることも大きなメリットだと思います。
何よりも、改めて私たち看護師が関わる患者様や家族をしっかり捉え、医療チームの一員として介入していくことの必要性や看護師として患者様や家族のそばに居ることの意義や役割について深く考えることのできた前期でした。
学ぶ内容が多く、自分に本当にできるのかと悩みながらも前期のカリキュラムを無事修了することが出来ました。
私の大切にしている言葉に「今、ここに存在する命に最大限のケアを、明日を迎える為に今、積極的なケアを」という言葉があります。この思いを胸に、今後もケアとキュア(治療)を繋ぐ診療看護師として成長できるよう、学びを深めていきたいと思います。

診療看護師大学院生から

聖マリアンナ医科大学病院
看護部 當山護剛(診療看護師大学院生)

① 診療看護師(Nurse Practitioner)を目指したきっかけ

 私は、これまで約12年間の看護師経験があります。最初の6年間は三次救急病院で医療スタッフや設備の整った高度急性期の現場で勤務しておりました。その後、医師が少なく、医療設備が整っていない僻地医療を経験し、当たり前のように高度急性期医療を提供できる現場から僻地医療の現場の落差に大きな驚きを覚えました。
僻地の病院に勤務していた時、10代のバイク事故による心肺停止の状態で患者が救急外来に搬送されてきました。残念なことにその命を救うことができませんでした。高度急性期の現場であれば救える命であっただろうと考えた時、私は看護師としての限界と同時に、その医療現場における地域差、あるいは技術の差に戸惑いを覚えました。
 看護師として提供できる医療の幅を広げたいと思い、救急医療の様々な資格取得に励みました。その結果、これまでよりも看護師として提供できる医療の選択肢が広がり、患者の回復へ貢献できる喜びがやりがいへと繋がりました。その中で、看護学と医学の視点から介入する事で患者予後に貢献出来るという急性期看護の役割と責任を見出だす事が出来ました。このように、急性期領域では刻々と病状変化する患者に対し、早期発見と早期介入だけで無く、合併症や病態をアセスメントし、より高度な看護実践能力を駆使して、患者ニーズを的確に把握する能力が必要です。その能力を発揮する為にタイムリーで高度な臨床判断能力を身に付けたいと強く感じました。以上のことから、これまでよりも医学的知識と技術が学べる診療看護師養成課程のある大学院へ進学するため当院へ入職・勤務しながら勉学を重ね2019年に大学院へ進学しました。

② 診療看護師養成課程のある大学院では、どのような事を学んでいるか。

 私が進学した大学院修士課程では、病態生理学や人体解剖学、臨床薬理学、疾病に対する理解を深め、臨床推論のための診察の方法や診断学などの座学を中心とした医学知識等を経験豊かな医師から学びます。
同時に、研究手法の修得をするため、気さくな教授のもと修士論文の作成にも取り組んでおります。全国から集まった同じ志を持つ仲間と共に大学院生活を有意義に送っております。

令和1年8月

診療看護師の卒後研修 救命救急センター

藤谷先生(右)とNP小波本
救命救急センターでの診療看護師卒後研修についてご紹介させていただきます。

私は現在、救命救急センターで指導医師のもと研修を行っていまして、研修医の先生方と一緒に三次救急患者対応と治療管理やICU・HCUの入院患者さんを担当しています。
毎朝ICU・HCUで行われる回診では、患者の状態について臓器等のシステムごとに問題点を挙げ、アセスメント評価を行い治療へつなげるプレゼンテーションが行われています。医師だけでなく診療看護師も担当患者のプレゼンテーションを行い、プレゼンテーションのトレーニングや治療管理等について学ぶ機会をいただいています。

今回は、当院診療看護師研修責任者である藤谷茂樹先生(救急医学教授)よりマンツーマンで抗菌薬選択のためのグラム染色の方法を1からご指導を頂きました。
グラム染色とは、喀痰などの検体にいる細菌を紫色(グラム陽性)と赤色(グラム陰性)に染め分けて、菌の染まった色や菌の形をみて感染症の起炎菌を考える検査です。この検査は感染症の治療において迅速に最適な抗菌薬を選択・使用するために非常に重要な意味をもちます。
看護師が菌を判断して抗菌薬を選択して使用の判断をしていいの?と思われた方も多いのではないでしょうか?
実は看護師特定行為21区分38行為の中に「抗菌薬の臨時の投与」がありその特定行為を行う診療看護師は、グラム染色を用いて抗菌薬選択ができる能力が求められます。
藤谷茂樹先生は、米国集中治療学専門医(FCCM)、米国内科学会専門医(FACP)、米国感染症学専門医をお持ちで、このような偉大な先生から直接グラム染色や感染症診療についてのご指導を受けられるだけなく、救急集中治療における重症患者の全身管理、総合内科の病棟管理まですべてご指導をいただける贅沢な研修施設は他にはないでしょう。

私は診療看護師として、患者さんの状態や今後の治療方針等の情報をもとに担当看護師やそのチームと情報を共有し日々の看護ケアへとつなげられるよう心がけています。
患者さんの近くにいる看護師が持っている情報の中から診断や治療有用なものだけでなく、患者さんの「その人らしさ」を看護の視点でしっかりとキャッチし、医師や多職種と連携・協働できる「チーム医療の架け橋」となれるよう日々研修を行っています。
診療看護師は、医師の「診る」と看護師の「看る」の2つ視点から、患者さんの受ける医療がタイムリーかつ安心・安全で質の高い医療を提供できる診療看護師(NP)になれるよう努力していきます。
                                   聖マリアンナ医科大学病院 看護部 診療看護師 
                                                          小波本直也(こはもと なおや)

グラム染色

診療看護師の卒後研修について

内藤医師とRRS出動時に使用する緊急バッグ内の物品を確認
聖マリアンナ医科大学病院
診療看護師 小波本直也(こはもと なおや)
看護師経験年数は14年目
これまでの主な看護経験領域:ICU・HCU


私は今年の3月に大学院を修了しまして、大学院の2年間で看護師特定行為21区分38行為全ての研修と資格認定試験をクリアしNP資格認定を取得しました。

■聖マリアンナ医科大学病院 診療看護師(NP)卒後研修について

聖マリアンナ医科大学病院では、今年度から診療看護師1名で卒後研修が開始されました。
当院のNPの卒後研修の特色は、主にクリティカル領域(救急.ICUなど)で働くNPのために考えられた研修プログラムです。
研修では、救命救急センターをはじめとするクリティカル領域の5つの診療科と選択診療科を2年間でローテーションしていきます。

私は現在、救命救急センターで指導医師のもと研修を行っています。研修医の先生方と一緒に三次救急患者対応と治療管理やICU・HCUの入院患者さんを担当しています。指導医のもとで、問診、身体所見等を通して臨床推論を行い検査の必要性やその解釈、診断・治療、その後のフォローまでの入院から退院まで研修を通して学んでいます。
当院では、心停止患者さんへの対応(Code Blue)とは異なり、患者さんの異常に対して早期介入することで緊急事態未然に防ぐ為の院内救急対応システムRRS(Rapid Response System)があります。その院内救急対応チームの一員として診療看護師も参加し対応しています。

私は集中治療領域における看護経験が10年以上あり、これまでの知識と経験を活かし、救命救急センターの看護師と一緒に様々な事例に対するカンファレンスを行っています。看護師からの相談では、病状や治療などの医学的な視点の相談だけでなく、日々のケアに関する相談も受けることがあります。その内容としては、重症な患者さんでも「その人らしく安楽に過ごせるために看護としてなにかできないのか」という痛み(鎮痛)や休息(鎮静)に対する相談や、危機的な状況である患者さんの「家族を支えるために看護としてなにかできないのか」という家族看護について多くの相談があり、その対象に合わせた看護ケアについて一緒に考え実践しています。
診療看護師として「いのちを守る」ということだけでなく「生活を支える」という看護の「こころ」を大切にしています。

                                   聖マリアンナ医科大学病院 看護部 診療看護師 
                                                           小波本直也(こはもと なおや)

特定看護師(診療看護師)

■診療看護師(NP:Nurse Practitioner)とは
一般社団法人日本NP教育大学院協議会(以下,NP協議会)が認める大学院のNP教育課程を修了し, 本協議会が実施するNP資格認定試験に合格したもので, 保健師助産師看護師法が定める特定行為を実施することのできる看護師です。
団塊の世代が75歳以上となる2025年にむけて複雑な疾病を抱えた患者の医療ニーズは増加し、これらの医療を取り巻く環境の変化に的確に対応していかなくてはなりません。急性期病院においてもこれまで以上に安心で安全な医療をタイムリーに提供するためには、専門性の高い実践力や判断力が不可欠です。その中でNP協議会では診療看護師を「患者のQOL向上に必要とされる初期診療行為を、医師や他の医療従事者と連携・協働し、効果的、効率的、タイムリーに実践できる能力を備えた看護師である。」としチーム医療のキーパーソンとして位置づけています。
聖マリアンナ医科大学病院の診療看護師として当院看護部理念である「コア」と「ケア」そして「キュア」の3つの柱を基に看護のこころ「ケア」と医学知識に基づいた特定行為等の治療に携わる「キュア」の2つの接点をもって患者自身の「コア」をとらえ、そして「いのち」を支える新たな存在として将来の医療へ貢献することを目標にしています。


■特定行為とは
「診療の補助であって、看護師が行う医療行為のうち、手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力、高度かつ専門的な知識・技能が特に必要とされるものとして定められた38の行為です。」
2015年3月「特定行為に係る看護師の研修制度」として保健師助産師看護師法が改正され厚生労働省令として同年10月1日施行されています。


■手順書とは「医師・歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるために、その指示として作成する文書または電磁的記録。」をさします。
看護師特定行為:その①看護師特定行為:その②

看護師 小波本  直也(こはもと  なおや)